WordPressで作ったサイトを多言語化することについて解説します。WordPressで作ったサイトを多言語化するには、次のプラグインを使用します。多言語化サイトの運用を開始してからプラグインを変更することは困難です。どのプラグインで運用していくか慎重に検討しましょう。
- WPML
- Polylang
- Bogo
目次
WPML
WPML(WordPress MultilinguaL plugin)は、40以上の言語に対応している、有償の多言語化プラグインです。年額39ドル、99ドル、199ドルのプランから選びます。WPMLは歴史が長く、ユーザーも多いことから、有償ということに対して問題がなければ導入を推奨します。
カスタム投稿タイプ、カスタムフィールド、ウィジェット、メニュー、画像、タクゾノミー、メディア、サイト管理のテキストを多言語化させることが可能です。
WPMLの使い方
WPMLは次の流れで使用します。
- 公式サイトからダウンロード
- 公式サイトの案内に従ってサイトを多言語化
Polylang
Polylangは、世界で最も使用されている無償のWordPressサイト他言語化プラグインです。41以上の言語に対応しており、Hyyan WooCommerce Polylang Integrationと併用することでWooCommerceで構築したECサイトページを他言語化させることもできます。言語ごとのページを作成し、サイトを他言語化させます。
設定でサブドメイン、サブディレクトリのどちらに多言語化させたページを表示させるか選択可能です。多言語化ページのサブドメイン、サブディレクトリが検索エンジンに与える影響については、当ページで後述しています。サブドメインを使用する場合、あらかじめサーバーの設定でサブドメインを登録しておく必要があることに留意してください。
Polylangの使い方
polylangは次の流れで使用します。
- 管理画面からプラグインをインストール
- プラグインを有効化
- polylangの指示に従って初期設定を完了させる
まずは、プラグインをインストールします。
セットアップウィザードが表示されます。案内に従ってサイトを多言語化します。
Bogo
BogoはContact Form7の開発者が開発したWordPress他言語化プラグインです。無償で使えます。
Bogoの使い方
Bogoをインストールすると、WordPress管理画面の左側メニューに「言語」という項目が追加され、その中の言語パックを追加することでサイトを多言語化させます。
多言語サイトのSEO対策
次の項目は、Googleでの表示順位に影響を与えます。
- 言語ごとにURLを設定する
- サイトまたはページに地域ごとのURLを使用する
- サーバーの場所
次の要点に留意しましょう。
- 複数の言語のバージョンがあることをGoogleに伝える
- ページの言語が明確にわかるようにする
言語ごとにURLを設定する
日本語のページには日本語のURLを用意し、英語のページには英語のURLを用意します。例えば、次のようにURLを設定します。
- 日本語のページ:https://www.websitefactory.jp/jp/日本語のページ
- 英語のページ:https://www.websitefactory.jp/en/英語のページ
地域ごとのURLを使用する
異なる地域をターゲティングする場合のURL構造の選択肢についてまとめました。プラグインを導入せず、サブドメイン、サブディレクトリにサイトを作成し、サイトを他言語化させることもできます。
メリット | デメリット | |
国別ドメイン(.jpなど) | 地域ターゲティングが明確 サーバーの場所に依存しない サイトの分割が簡単 | 高価 インフラがより多く必要 ccTLDの要件が厳しい(一部) |
gTLDを使用するサブドメイン 例)jp.example.com | 手軽に導入可能 Search Consoleの地域ターゲティングを使用できる 複数の場所のサーバーを使用できる サイトの分割が簡単 | ユーザーがURLから 地域を認識できない場合がある (jpが国かどうか識別できない) |
gTLDを使用するサブディレクトリ 例)example.com/jp | 手軽に導入可能 Search Consoleの地域ターゲティングを使用できる 管理しやすい | ユーザーがURLから 地域を認識できない場合がある サーバーの場所が1箇所のみ サイトの分割が難しい |
URLパラメータ 例)example.com?loc=jp | Googleが非推奨 | URLベースでの分割が難しい ユーザーがURLから 地域を認識できない場合がある Search Console使用不可 |
ドメインについて
サイトを多言語化させることに関するドメインの分類(gTLDやccTLD)について紹介します。
gTLD(ジェネリックトップレベルドメイン)
gTLDとは、ジェネティックトップレベルドメインのことで、特定の地域に関連づけられていないドメインのことです。.comや.orgは、gTLDに分類され、これらは特定の地域との関連がありません。gTLDの例は次です。
- .com
- .org
- .edu
- .gov
- …その他
ジェネリック地域トップレベルドメイン
次のドメインは地域に関連づいてはいますが、.comや.orgのようなgTLDと同様に扱われます。
- .eu
- .asia
ccTLD(ジェネリック国別コード トップレベル ドメイン)
ccTLDとは、ジェネリック国別コード トップレベル ドメインのことで、country code Top Level Domainの略語です。国ごとに与えられたトップレベルドメインのことをさし、「.jp」もccTLDの一つです。通常、ccTLDは地域を特定する要素としてGoogleは判断しますが、次のccTLDはgTLDと同様に扱われます。
- ad
- as
- bz
- cc
- cd
- co
- dj
- fm
- io
- la
- me
- ms
- nu
- sc
- sr
- su
- tv
- tk
- ws
※上記のドメインリストに関する情報は、11月15日時点のものであり、変更されている可能性があります。詳細は下記リンクを確認してください。
ジェネリック トップレベル ドメイン – Google検索セントラル
サーバーの場所
サーバーの場所はターゲットとしているユーザーを判断する要素の一つになります。ただし、サーバーの場所は、サイトの管理者がサーバーの質の高い国を選んでいることもあるため、信頼性の高い情報ではないとGoogleはしています。
例えば、アメリカ合衆国のレンタルサーバーを、日本のレンタルサーバーより質が高いという理由で使用しているが、コンテンツのターゲットが日本のユーザーのみというケースが考えられ、こういった事情からサーバーの場所はそれほど信頼性の高い情報ではないと判断できる。
特定の国をサイトのコンテンツターゲットに設定する
特定の国をサイトのコンテンツターゲットにするには、次の対応をします。
- ページまたはサイトに地域または言語ごとのURLを使用する
- hreflangまたはサイトマップを使用して、どの地域もしくは言語であるかをGoogleに伝える
- 特定のドメイン(.com.jpなど)に留意する
Googleがターゲットの地域を認識する方法
Googleは次の方法でターゲッティングされている地域を認識します。
- Search Consoleのインターナショナルターゲティングレポートに指定されたターゲットの地域。
- 国別コードトップレベルドメイン名(ccTLD)
- サーバーの場所
- ページに掲載されている住所、電話番号、通貨、被リンク、Googleマイビジネスの情報など
次のことをGoogleは行っていません。
- ページの別のパターンがあるかどうかを探すために、1 つのサイトに使用されているクローラソースを変えること
- 場所のメタタグ(
geo.position
、distribution
など)や、地域ターゲティングの HTML 属性の考慮(これらの要素をGoogleは無視している)
インターナショナルターゲティングレポートとは
Google Search Console上で確認できるサイトの他言語化に関するレポートです。ジェネリックトップレベルドメインやhreflangタグの確認を行います。
hreflangとは
他言語化したサイトであることをGoogleの検索エンジンに認識させるためのタグです。Googleで検索したユーザーの言語や地域に合わせて適切な検索結果を表示させるために使われます。
hreflangタグは、<title>タグなどのように、<head></head>で囲われた部分に記述します。以下のコードは記述例です。
日本語の場合
<link rel="alternate" hreflang="jp" href="https://○○○○○○○.com/jp/">
英語の場合
<link rel="alternate" hreflang="en" href="https://○○○○○○○.com/en/">
他言語、他地域サイトの重複ページ
例えば、example.jpとexample.com/jpで同じコンテンツが提供されている場合、rel=”canonical”要素とhreflangタグを使って、適切なページが検索結果に表示されるよう設定します。
まとめ
WordPressで作成したサイトを他言語化させるには、プラグインを導入しましょう。また、プラグインを導入する他にもサブドメインやサブディレクトリを使用してサイトを他言語化させることもできます。他言語化させたサイトのSEO対策(検索エンジン最適化)についてはGoogle検索セントラルを確認しましょう。